はじめに
サッカー漫画が好きで、これまでにも色々と読んできました。
先日、「ボクらの強化部」という漫画をAmazonで購入し読んでいました。
すると、こんなエピソードが出てきました。
目指すサッカーのスタイルがなかなか確立出来ないチームが、新シーズンを迎えるにあたり新監督を招聘するという回です。
現実的な予算の中で目指すサッカーを実現できそうな新監督候補にアプローチを図ります。
その候補に上がった監督は、大胆な奇策を用いる変わり者だが他のチームを昇格させた実績もある優れた監督です。
強化部スタッフであり熱狂的なサポーターでもある主人公は、チームにピッタリの人物だ期待を膨らませ交渉に臨みます。
しかし、チームや地域について前向きな反応をしていながらも、新監督候補は条件として「ユニフォームの色が好きになれないから変えて欲しい」という要求を突きつけてきます。
ユニフォームの色を変えるということは、エンブレムやスタジアム、マスコット、駅や商店街などのポスター、グッズなど物理的な色変更として膨大な費用をかけて改修する必要があります。
そこで強化部の先輩スタッフは、全く別の色ではなく今のエンブレムに使用している別の色なら最小限のコストで別のユニフォームの色に変更できる。スポンサーが離れている現状もありこれが限界。」という妥協案を示します。
しかし、それは監督候補が要求した色ではなく、当然ネガティブな反応を示します。
すると、主人公は「なんでウチのユニフォームがこの色か知っているか」と切り出します。
空のように広くピッチを使ってパスを回し
ボクらの強化部:第1巻 第三話
空のように自由な発想でサッカーをする
そういった理念で20年変わらず続けてきた色だ
そして、「この地域にもこの色が好きな人がいる。クラブを想ってくれている人がいる。だからユニフォームの色は変えない。」と、言い切ります。
すると、新監督候補は・・・続きはぜひ読んでみてください。
この話を読んで私は改めてユニフォームやエンブレムにが持つ意味とはどういうことか考えさせられました。
エンブレムとユニフォームがブランドに与える影響
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サッカークラブのエンブレムやユニフォームは単なるデザインや装飾ではなく、ブランディングとアイデンティティを表現する重要なツールなのです。
クラブの歴史や文化、価値感を表現し、サポーターやスポンサーに対して強いメッセージを伝え、強い信頼を築くための象徴です。
名だたるクラブのエンブレムやユニフォームのデザインは、そのクラブのブランドイメージに強く影響します。
エンブレムとユニフォームのデザインは、サッカークラブのブランディング戦略における重要な要素となります。
そしてそれは目指すべきサッカーのスタイルそのものにも関わるのです。
エンブレムとユニフォームの役割と重要性
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エンブレムとユニフォームは、クラブのアイデンティティを表現する最も重要なビジュアル要素の一つです。
クラブの歴史、伝統、価値観を視覚的に表現し、サポーターやスポンサーに対してそのクラブが何を信念とするのかを伝えます。
エンブレムは、クラブの象徴となるビジュアルマークでクラブの歴史、地元の文化、価値観などを象徴的に表現します。
ユニフォームは、クラブの色彩を表現し、選手たちがピッチで身に着けるものです。
ユニフォームの色やデザインは、クラブのアイデンティティやブランドイメージを強く影響します。
エンブレムとユニフォームは、クラブのブランディングにおける中心的な役割を担います。
例えば、マンチェスター・ユナイテッドのエンブレムは、クラブの「赤い悪魔」の愛称を象徴しています。
バルセロナのエンブレムには、カタルーニャ地方の旗やサン・ジョルディ十字が描かれており、クラブが地元の文化と深く結びついていることを示しています。
リバプールの「赤」のユニフォームやレアル・マドリードの「白」のユニフォームは、クラブの象徴的な色であり、そのスタイルは世界中のファンに認識されています。
エンブレムとユニフォームは、クラブのブランディング戦略における重要な要素であり、クラブのアイデンティティとブランドイメージを視覚的に表現するツールであることがわかります。
ホームスタジアムでの試合の時、スタジアムの中はもちろん、スタジアムの周辺はホームチームのユニフォームカラーで埋め尽くされます。
その光景はまさにクラブの信念が表現されたブランドそのものです。
日本のクラブでの事例:横浜F・マリノス
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日本の例として私の愛する町の代表的なクラブ、横浜F・マリノスを挙げてみます。
横浜F・マリノスのエンブレムは、マリノス(スペイン語で船乗りの意味)と、横浜市のシンボルである港をモチーフにしたデザインが採用されています。
これはクラブが地元横浜市と深く結びついていること、そして海を越えて世界へ挑戦する精神を表現しています。
また、ユニフォームにはトリコロール(青・白・赤)が採用されています。
青は「冷静さと港町・横浜の海」、白は「集中力と潔白さ」、赤は「瞬発力と情熱」を象徴し、海上の都市横浜とその歴史、そしてクラブの情熱を表現しています。
出典: https://www.f-marinos.com/club/profile
ユニフォームは、一貫してトリコロールを基調にしたデザインが採用されており、そのカラーや意味はサポーターに広く認識され、クラブのブランドアイデンティティを強く表現しています。
横浜F・マリノスのエンブレムとユニフォームは、クラブの歴史、地元への誇り、そして挑戦する精神を視覚的に表現し、クラブのブランディングに大いに貢献しています。
まとめ
エンブレムとユニフォームがサッカークラブのブランディング戦略においてどれほど重要な役割を果たしているか、その一端を説明してきました。
クラブの歴史、価値観、地元への繋がりを視覚的に表現し、クラブのブランドアイデンティティを強化するこれらの要素が、サポーターやスポンサー、地域に向けたアイデンティティを強く主張するための重要なツールとなります。